
野菜作りの得意な素敵な女性Nさんのお話です。
Nさんは、娘さんと二人暮らし、激動の戦中、戦後を生き抜いた凛とした日本女性の鏡のような
方です。
そのNさんが当院を訪ねられたのは、昨年の8月、暑い盛りでした。
Nさんの意図から離れたところで治療を推し進められる娘さんの態度に立腹されて、院長診察も
ままならない状況でした。
院長の計らいでカウンセラーである私が、まずは、治療の話をするかどうか聞いてみることになり
ました。
カウンセリングルームに入られたお二人は、背を向けるように座られ、互いの主張がかみ合わず
まるで親子喧嘩状態です。
とりあえず、互いの言い分を聞いた後、お一人ずつにお話しを伺ってみました。
するとお二人の言葉の端々に互いへの思いやりが溢れ、相手を愛するがあまりに生じた争いで
あることは、すぐに理解できました。
私は、喧嘩の仲裁役として、互いへの思いやりから、生じたことであることを伝えました。
そして、治療の選択権は、治療されるご本人にあるということも娘さんにご理解いただきました。
「娘さんに母親を助けるという機会をあたえてみませんか?」
この言葉がひびいたのか、それから数か月、カウンセリングだけの関わりが続きました。
人生観、宗教観、死生観、そしてぬか漬けのつけ方まで、いろいろな話をしました。
Nさんは、妻として、母として、家族を守るということに最大の生きがいを感じて生きてきた人です。
病気をしたからと言って、自分のために、娘さんに労力と経済的負担をかけたくはないというのが
Nさんの信念でもありました。
娘さんは、少しでも母親の思いを理解したいと「藤岡医院主催のサイモントン療法セミナー」に
参加されました。
そこで、親子である以上に、互いに自分らしくあることの大切に気づき、お母様の治癒力と生き方
への信頼感を育まれました。
今年の3月に入り、Nさんご自身の希望でハイパーサーミア治療が開始されました。
9月にご自身の願いでもあったミッション系のホスピスに入院された後も当院への通院は、続き
ました。
Nさんの包み込むようなの笑顔は、待合室を明るく照らし、医院のスタッフ一人一人を幸せな
気持ちにさせました。
Nさんは、温かな秋晴れの10月、愛する娘さんに「ありがとう」の言葉を残し旅立たれました。
「私は、今とても幸せです。みんなに感謝をしたい。」
そう言われていたとおりの旅立ちでした。
先週末、Nさんが丹精込めて作られたスィートスプリングを持って、娘さんが来院されました。
畑仕事などしたこともなかった娘さんが、畑が一番母を感じる場所だと話されました。
私は、「お母様のお姿は見えませんが、思いは存在していますね。」と申し上げました。
「はい」と言ってほほ笑まれた娘さんの顔が、凛としてNさんがあたかもそこに存在していらっ
しゃるような感覚を覚えました。
私は、娘さんが、これまで以上に豊かな人生を歩まれるだろうと確信しました。
死は、敗北では、ありません。
命あるものに与えられる肉体の終焉です。
それが、ほんとうに理解できるまで、私も多くの経験を必要としました。
サイモントン療法と多くの患者さんとの出会いが、今のカウンセラーとしての私を作っていることは、
言うまでもありません。
これから、どれだけの患者さん、ご家族との出会いがあるかわかりませんが、病気を持っても
幸せに生きて、そして、だれにでも訪れる死をも幸せに迎えることができるんだということを伝えて
行きたいと思っています。
治癒も、それを自覚することから生まれてくるような気がいたします。
さて、12月4、5日(土、日)は、今年最後の藤岡医院サイモントン療法セミナーです。
セミナーのリードは、認定トレーナーの川畑伸子先生、スモールグループのファシリテーターは、
飛騨高山から玉田まゆ子先生、鹿児島から土橋美子先生、藤岡医院の藤岡ふみよが務めます。
患者さん、ご家族のみならず、心理療法や生き方を学びたい方も大歓迎です。
遠方からのご参加の宿泊等は、遠慮なくご相談くださいませ。
藤岡医院 カウンセラー
藤岡ふみよ
*藤岡医院サイモントン療法セミナーの詳細はお知らせをご覧ください。